パリから日本文化を世界に

パリから日本文化を世界に

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 20世紀初頭、ベルエポック時代のパリはヨーロッパ文化の代表でした。そのDNAは現在も受け継がれ、世界中の人々が憧れる都市です。パリミキのパリ・オペラ店は1973年にオープンし、今年で47年目を迎えます。2020年の春、改装して新しくなったオペラ店をご紹介いたします。


オペラ通りの変化

「森の中に木を植えても誰の目にも留まらないだろう」

 澤田社長のこの言葉をキーワードにオペラ店の改装プロジェクトが開始されました。オペラ店は1973年に海外初店舗としてパリの中心オペラ通り33番地に店を構え、移転することなくずっとこの場所で"ジャパンクオリティ"を発信し続けて来ました。パリにお越しになった方が一度は通られることがあるであろう「Avenue de l'Opéra(オペラ通り)」は、美しく荘厳な建造物であるオペラ座ガルニエ宮とセーヌ川沿いのルーブル美術館を繋ぎ、パリ中心を貫く約700m、幅30mの大通りです。

 ちなみにフランスの道はその大きさの順でavenue(アブュニュー)boulevard(ブルバード)rue(リュー)と呼ばれます。この一帯は観光地という印象がありますが、実は金融街という一面もあり、多くの銀行関連の事務所があります。近年は地価高騰のあおりを受け、企業の多くは郊外に移転しました。小売店も個人商店は少なくなり、アメリカ資本の大手チェーン店が多く増えています。

 パリミキオペラ店のお客さまも、以前は近隣にお勤めのフランス人のビジネスマンが、お昼休みや就業後にお越しになられることが多かったのですが、時代とともにその数も減ってしまいました。その代わり近ごろこの界隈は日本食レストランが軒を数多く連ねることで知られ、ランチタイムや夕食時にはフランス人はもちろん、各国の観光客で賑わいます。お寿司や焼き鳥、ラーメン店が凌ぎを削り、蕎麦、うどん、お好み焼き、抹茶、どら焼き専門店まであります。

 このような場所であるからこそ、パリミキオペラ店はお客さまに"日本の本物"をご提案することをポリシーとしています。


ジャポニズム

 2011年に一度大きな改装を行いましたが、この時はそれまでの昔ながらの重厚な接客カウンターをなくし、お客さまが店内をぐるりと回遊できるような流れを作りました。床はベルギーから取り寄せた厚み10㎝の石畳が敷き詰められ、店内の6本の構造上の鉄柱は中をくり抜いた菩提樹の木で覆われ、あたかも林の中にお店があるような印象です。メガネは厳選した少数を展示し、無駄を省いた非常にシンプルなデザインです。日本語の「禅」がフランス語になった"ZEN"という言葉をフランス人はよく使いますが、この言葉がぴったりの内装でした。当時はこのようなショップは珍しかったのですが、今は時代の流れか、昔ながらのカフェや店舗が減り、近代的な洗練された服飾店、電子機器店、ファーストフード店など、すっきりシンプルな、言ってみればパリらしくない店が非常に増えました。

 今回のオペラ店の改装ですが、テーマは「ベルエポック〜古き良きパリ」です。前述した床や柱はそのまま、オペラ通りに面したショーウインドーは今までは大きなガラス張りのシンプルなデザインでしたが、今回は木の枠組みで印象をつけ、人々の視線を集めやすくしました。店内はアンティーク家具、本物の年代物の照明器具を設置します。澤田社長自らがパリの骨董屋に足を運び、コンセプトの年代の作家の作品を吟味して買い付けました。

 さて、そもそもどうしてパリミキオペラ店はベルエポック、1900年初頭のパリをテーマに選んだのでしょうか?それは、この時代パリで「ジャポニズム」という日本ブームが起き、多くの芸術家がジャパニーズカルチャーに影響を受けて作品にも残しているからなのです。皆さん、モネの「ラ・ジャポネーズ」やゴッホの「タンギー爺さん」の画像をネットで検索してみてください。有名な絵ですので「ああ、これね、知っているよ」と思われるでしょう。そして、よく人物の背景を見てください。そう、たくさんの浮世絵が描かれているのです。当時パリで一大ブームを巻き起こした日本芸術熱の影響力がよくわかりますね。

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本物の文化の融合

 パリミキオペラ店には、フランス人と日本人だけではなく、ロシアやアメリカ、ブラジル、アジアといった世界中から、さまざまな国籍の観光客も来店されます。私たちは常に日本のサービス、高品質な日本製メガネにこだわって商品とサービスを提供していますが、中でも福井県鯖江産のメガネフレームを数多く販売しています。46年にわたってフランスで地元に根付いて営業をしてきましたが、ここまで長く続けてこられたのはパリの他のオプティシャンとは違い、ジャパンクオリティを発信し続けて来たからこそだと思います。日本とフランスの文化の融合が始まったベルエポックこそが、私たちのお店のテーマにふさわしいのです。

 改装後の店内にはフランスのアンティーク家具に加えて、日本の骨董家具も展示されます。和家具もフランスでは人気があり骨董街では高額で取引されており、漆小物、竹細工なども工芸品として希少価値が認められています。今まで以上に他のメガネ店とは違う演出にきっとお客さまは驚かれ、楽しんでいただけると今から楽しみです。

 ここ数年、パリミキオペラ店ではさまざまな異業種他者とコラボレーションを行って来ました。クリスマス時期には日系ゲーム会社との企画で、店内にゲーム機を置いたり、キャラクターが飾られたクリスマスツリーを展示。パリに進出したばかりのラーメン店とのコラボではガラガラ福引でラーメンやサイドディッシュが当たりました。福井のお蕎麦屋さんには店内で試食会を開催し、越前蕎麦と福井の地酒を楽しんでいただきました。改装後もフランスと日本の融合、本物の日本をパリの中心から世界に発信できるような場所となるように、視野を広く持った店の運営をして行きたいと考えています。

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パリミキフランス 長谷川泰三、高橋華惠