パリのテロ、その時私は...

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2015年11月13日、パリで同時多発テロが発生しました。33分間で7ヵ所襲撃、死者129名、負傷者352名という、恐ろしい悲劇のニュースは世界中を駆け巡りました。

11月13日 金曜日
21時20分、テレビでサッカーのドイツ戦を見ていると、突然試合が中止になりました。画面がテロ発生生中継に切り替わり、襲撃された場所、死者の数が実況中継で流れて驚きました。パリ在住の友人から、フェイスブックに速報が入り安否確認と情報交換、スタッフの所在を確認しました。被害にあった辺りはライブハウスやバタクラン劇場があり、話題のレストランも多く、日本のミュージシャンもたまにライブをする親しみのある場所でもあります。私も昨年家族で訪れたことがあり、背筋が寒くなりました。

11月14日 土曜日
朝からテレビをつけ、血なまぐさい現場の状況を再確認しました。この日、パリ市内の観光名所や美術館は閉鎖され、庶民の台所のマルシェ(市場)も開かれませんでした。デパートは通常営業通りに開店しましたが、テナントブランド店は自主休業し、やはり、万全なセキュリティーが確保できないとのことで、2時間後に閉店しました。

11月16日 月曜日
日常が始まる日でした。電車は遅れがあり、かなり混んでいましたが「みんなパリに行くのだ」と元気付けられました。オペラ駅を降りると、通勤の人がいつも通り溢れていました。

10時にお店をオープンする時、若干手が震えました。「私は怖いのか? 不特定多数の人が入って来れるから?」そのようなことを自問自答するも、朝から大勢のお客さまで忙しくなりました。ご来店いただくお一人おひとりに、「このような時に、パリの真ん中のパリミキオペラ店へいらしていただいて、ありがとうございます!」という感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。赤ちゃん連れ、乳児連れのお得意さまも来店いただき、充実した1日が、あっという間に過ぎました。

心地よい疲労感と一緒に、暗闇にイルミネートされた美しいオペラ座が見え、昨日までの沈んでいた気持ちが、吹き飛んでいることに気がつきました。「この地で、パリミキで仕事をしていて本当に楽しい」と実感し、お客さまに感謝の気持ちを持つことを再確認できました。
そして、遠い地から心配してくださる全ての方々に感謝でいっぱいになりました。「いろいろな困難はあっても、がんばろう、健康で仕事ができるって素晴らしい」と実感しました。

11月21日 土曜日
テロから一週間が経ち、初めての土曜日。この日は気温が真冬並みに下がりました。どうかなと疑心暗鬼ではありましたが、ぞくぞくとお客さまがご来店され、一時は身動きが取れないほどになりました。お客さま同士で静かにお話し込まれている姿もありました。こんな時だからこそ、パリの日本人のオアシスになれたら嬉しいと思います。クリスマスツリーも飾り「通常の生活をしていこう」という気持ちが皆さんから伝わって来ました。

11月28日 土曜日
30日からパリで開催される「気候変動枠組み条約第21回締約国会議」のため、パリが再び厳戒態勢に。パリと開催場所を結ぶ高速道路は封鎖され、空港へのバスも運休となりました。警察は「2日は、なるべく外に出ないように、事業主は従業員に自宅勤務を促し、社屋からの外出を避けるように。できることなら有給休暇をとって家にいてください」とのテレビ演説がありました。

11月30日 月曜日

厳戒態勢の11月最終日でした。オバマ大統領がアメリカ大使館に立ち寄るために、コンコルド広場周辺、ぎりぎりオペラ通りまでがすべて通行止めになっていました。バスは迂回し、オペラ通りには入り込めません。果たして、お客さまはご来店されるのか?と思いましたが、午後には交通規制も解消され、通常のオペラ界隈の賑わいが戻って来ました。テロの影響を受けていてもご来店いただいたお客さまに感謝をしております。また、テロ後の心中複雑な中、通常通り営業を支えてくれたオペラ店スタッフ、そして、応援していただいた全ての方々に感謝いたします。


筆者:パリミキ フランス法人 高橋 華恵
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