小さな多民族国家「シンガポール」の平和への取り組み

歴史から教訓を学ぶ

 シンガポールは1965年の独立からわずか50年しかたっていません。しかし、その歴史は、この地がサン・ニラ・ウタマの首都であったパレンバンの王子によって、シンガプーラと名付けられた1299年にさかのぼります。マレー語で、シンガはライオン、プーラは寺や街を意味します。その後1819年に、イギリス人のラッフルズ卿にその交易地としての価値を見出されてから、イギリスの植民地としてこの地の近代化が始まりました。
 シンガポールの歴史教育ではその内容よりも、その影響について重点が置かれます。大事なことは、歴史から教訓を学ぶことなのです。それは宗教や国を超えて、国民としての意識をより高め、独立を維持する能力を養う助けになっています。例えば、日本の支配も、さまざまな文化や宗教からなる多くの移民を含め、より民族としての団結を強めることとなり、イギリスからの独立を促す契機となりました。

国防への努力

 シンガポールは資源のない小さな国ですから、平和が維持できている環境でないと生きていけません。そこで政府はかなりの予算を国防に割いています。2015年では130億ドル、昨年より5.9%も増加しています。小さな国だけに、すべての男子が国防に貢献しています。18歳から21歳までの間に、2年間の国家への奉仕が求められます。その後も40歳までの間、少なくとも年に一度、精神的・肉体的にいつでも国防に対応できるよう、トレーニングを続けることが求められます。
 それに加え、国は強力な外交を駆使して、世界の国々と国防や軍事についての強力で効果的な同盟関係を築きあげています。これも、平和を守るのに大きく役立っています。戦争は、信条、宗教、あるいは文化の違いから起こると考えられます。シンガポールは、小さな国にたくさんの人種がいる中で、調和を保ちながら働き、生活する術を学んで来ました。ただ、同時に、将来のあるべき姿を見通した、優れた一貫した政府の政策がなければ、今日のシンガポールを築きあげることは不可能だったでしょう。

男の子から男性に

 私の場合は2年半の間、軍隊に所属しました。最初の3カ月は、精神的、肉体的な軍隊に適応するための基本的なトレーニングでとても大変でしたが、次第に適応できるようになりました。ある意味「男の子から大人の男性」になる訓練だったように思います。これにより、私は忍耐力や、自立心を強くすることができただけでなく、チームワークの重要性も学び、その間に得たものは私の人生において、とても有益なものとなりました。
 私の個人的な意見として、喧嘩も戦争も、相手のことをきちんと理解できていないことや、相互利益よりも自分たちの利益を優先しようとした時に、起こるように思います。誰もが、もっと忍耐強く、かつ自分たちの利益を優先することなく、相手の理解に努めれば、多くの誤解や争い事は平和裏に解決することができるのだと思います。

筆者:パリミキ シンガポール オペレーションマネージャー
ダニエル・ナイ
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