水の完全自立を目指す

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シンガポール リャンコート店  森田 亜紀子


 国土が狭く大きな河川や雨水をためる土地も少ないシンガポールでは、ライフラインである水の確保は建国以来の大きな課題です。これまでは、マレーシアから供給される水に大半を頼ってきましたが、2061年に現在の供給協定が切れ、さらに期限切れを前にマレーシア側が価格のつり上げを要求してきたために交渉が暗礁に乗り上げている状態です。

 そこで水の完全自立を目指すべく、日本から逆浸透膜を使った高度濾過技術を導入し国内の下水を再生処理して飲用水にも利用可能とする「ニューウォーター」計画を開始しました。現在このニューウォーターはWHOの飲料水基準をはるかにクリアしており、一部は家庭の水道水として使用され、基本的には工業用水としてシンガポールの水全体の30%近くを占めるようになっています。
 また、マリーナ湾の湾口をせき止め淡水化する可動堰式ダム「マリーナバレッジ」も作られ、現在では国土の約3分の2が貯水池(森林を含む)となっています。さらには官民提携の水処理企業が海水淡水化事業に乗り出しており、今年9月には新しいチュアス海水淡水化プラントの稼働が始まりました。先に稼働していたプラントと合わせると、現在の水需要の25%を供給することができるようになりました。

 2060年までに、ニューウォーターで55%、海水を淡水化した水で25%、それに貯水池の水を合わせて持続可能な水の供給を可能にし、水の完全自立を目指しています。

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マリーナ貯水池