シンガポールの成長を支えたCPF

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(株)三城 代表取締役 中尾 文彦

 私はCPF(セントラル・プロビデント・ファンド=中央積立基金)という制度がなかったら、シンガポールはここまで特異な成長は遂げていないと思うほど、素晴らしい仕組みだと思っています。
 CPF制度とは原則として、すべての国民が給料の20%、雇用者側が16%、合わせて36%を、国の管理下にある個人の口座に積み立てることを義務付けられている制度です。この預金に国は金利を支払います。この負担率や金利は、国の景気動向により変化します。
 国民は老後の所得補償、持家の取得、医療費、教育費および介護費という目的の時にのみ、この口座からお金を引き出すことができます。また、積み立てられるのが個人所得の36%ですので、お金を多く稼いでいる人は多く残っている、そうでない人はあまり残らないということになります。
 その中で医療用のCPFの特徴ですが、日本のように1割負担、3割負担という形ではなく、シンガポールでは全額自己負担で、基本的に自由診療です。日本では健康保険代を払っているのだから、なるべく多くの医療費を使わないと損だ、という傾向にあり、医療費がどんどん膨れ上がっています。しかし、シンガポールでは、自分名義のCPFの口座から医療費を支払うことになり、皆が厳しく医療費を吟味するので、医療費は格段に抑えられます。
 国民が、なるべく医療にお金を使わないように考えるので、一番使わないのは予防になります。シンガポールに限らず、この予防医学が今後の世界の医療の大きな柱になっていくと考えています。

 2013年1月24日 シンガポールでの三城HD年頭会議にて